メニューなし治療院

トーマス鍼灸院

既に25年間この葉山町に少々風変わりのドイツ人鍼灸師がメニューなし治療院を経営している。

「メニューなし治療院」・・・とは?

時代の流れでしょう。ほぼ全ての治療院/医院は何かの「メニュー」を使っています:治療時間はコース次第5分や10分単位で、それに伴う治療費もまた細かく区切られています。場合によって5円単位。
基本の治療に○○治療手段が追加すれば、あるいは治療時間が通常より何分延長するならばXXX円追加料金が加算されます。
それはきっと「普通」の営業方法に違いありません。
しかし、私は個人的どうしてもそれに賛同出来ません。

来院する者は「病」に「患って」いる「人」=患者です。

その人は部品の集まりではありません:左膝に症状あれば左膝のみに治療するのは修理工場のようです。筋骨の問題でなければ、更に別の工場に訪れる必要あります。それぞれの工場では取り扱う「部品」は「診ます」が、「人」=患者を見失われる危険性あります。

東洋医学は本来「人」を診るものです。

医術に関わる者は「病」に「患って」いる「人」を診るべきです。それは東洋医学だけではなく、西洋医学の父と言われる古代ギリシャのヒポクラテスも同じ事を言いました。伝統医療の職人として私はそれを信じて「メニューなし治療院」を営んでいるつもりです。
可能であれば、患者を「病」から解放に必要な治療手段を全部施し、治療時間の制限も特に設けていません。治療には必要な手段を全部使い、全身を診るため必要な時間をかけます。追加料金は過去30年間に請求したことありません。
この治療方針はこれからも変える意思ありません。

メニューに取り憑かれている現代 - 寄付コース

無論、これはちゃんとした「治療のコース」ではありません。私は開業してから30年間「メニューなしの治療院」の概念を貫いてきました。最近他院どこでも「治療のコース」に拘り、当院も「メニューを設置設定してください」と責められました。幾分反抗的態度でこの寄付コースも設定します。
鍼灸治療費(保険適応なし)の相場はこの地域で今6000-8000円かそれ以上に掛かる事が珍しくありません。しかし、そのような費用を払える人は必然的裕福な人です。私自身もそのような高価な治療を受けられません。つまり、そのような鍼灸治療はもっぱら富裕層のための治療になります。私はそのような概念(ビジネス!)に賛同出来ません。金銭的余裕のない人も鍼灸治療で助けるべきだと思います。
何年も前から既に院内に「治療費基金」を設置しました。恵まれていない人にも手を差し伸べられるためこの(妙な?)「コース」を設定します。
このメニュー項目では「治療費」は最低10000円に設定しますが、上限はありません。当院の治療費を超える金額は前記の基金に入れます。
しかし、仮に100万円を払っても、特別待遇はしません!治療は治療。生活保護受給者も大金持ちも同じ。
金額に「見合った」治療をお求めであれば、そのような待遇をして下さる他院に訪れて下さい。

「ある意味すごい才能だって言われる才能があったとしても、続ける才能さえあれば、
他のどんな才能も凌駕する時が必ず来る。」
山口千尋 (靴職人)

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