鍼灸

既に26年間この葉山町に少々風変わりのドイツ人鍼灸師がメニューなし治療院を経営している。

以前何回かテレビからの取材ありました。もし参考になるようでしたら →

トーマス鍼灸院の facebook page

患者の声 — 来院やこのサイトを訪問した方々に是非ともコメントや印象を書き込んでください。(そのようなページの作成方法はまだ勉強中ですが・・・)

「メニューなし治療院」・・・とは?

時代の流れでしょう。ほぼ全ての治療院/医院は何かの「メニュー」を使っています:治療時間はコース次第5分や10分単位で、それに伴う治療費もまた細かく区切られています。場合によって5円単位。
基本の治療に○○治療手段が追加すれば、あるいは治療時間が通常より何分延長するならばXXX円追加料金が加算されます。

それはきっと「普通」の営業方法に違いありません。

しかし、私は個人的どうしてもそれに賛同出来ません。

来院する者は「病」に「患って」いる「人」=患者です。

その人は部品の集まりではありません:左膝に症状あれば左膝のみに治療するのは修理工場のようです。筋骨の問題でなければ、更に別の工場に訪れる必要あります。それぞれの工場では取り扱う「部品」は「診ます」が、「」=患者を見失われる危険性あります。

東洋医学は本来「人」を診るものです。

医術に関わる者は「病」に「患って」いる「人」を診るべきです。それは東洋医学だけではなく、西洋医学の父と言われる古代ギリシャのヒポクラテスも同じ事を言いました。伝統医療の職人として私はそれを信じて「メニューなし治療院」を営んでいるつもりです。
可能であれば、患者を「病」から解放に必要な治療手段を全部施し、治療時間の制限も特に設けていません。治療には必要な手段を全部使い、全身を診るため必要な時間をかけます。追加料金は過去30年間に請求したことありません。
この治療方針はこれからも変える意思ありません。

「ある意味すごい才能だって言われる才能があったとしても、続ける才能さえあれば、
他のどんな才能も凌駕する時が必ず来る。」
山口千尋 (靴職人)

鍼灸治療は『何が出来る』でしょうか。

鍼灸治療は現在金属製の鍼で物理学的な刺激と艾で温熱的刺激を通して体に影響を及ぼそうとしている。狭義では物理療法の一種だ。人間のみならず動物(植物で刺激の伝達や反応が異なるが、基本的「外界から刺激あれば反応する」事)もそう言った刺激に対して多かれ少なかれ反応するように出来ている。
鍼灸治療は今までないものを新た体に「追加」するよりも、本来体(精神を含む!)の機能を調整したり、高めたりするだ。
「機能」はキーワード。
病は大きく「気質的変化」(例えば骨折→体に構造上の変化がある)と「機能的変化」(構造は健全ですが、その働きは一時的不良)に分けられる。鍼灸治療は「気質的変化」に然程影響(骨折の所に鍼をしても、骨が即座に付く事はない)を及ぼせないかもしれないが、短期的・長期的乱れている機能を整える事は出来るでしょう。

写真: 何年前に神奈川新聞が取材に来た時写真家に採られた物。

治療内容

ちょっと前に治療例に関するブログを開設したが、余り積極的書き込んでいません。それでもご覧になるようでしたら・・こちらへ→

鍼治療は極細い金属製の鍼を利用する。流派や考え方は多数あるが、一般的鍼は浅く(2-3mm)或いはやや深めの1cmほど刺され、そのまま暫く放置される(置鍼)。必要に応じて(深い所の筋肉を解すため)もう少し深く刺す場合もある。私個人の好みでいずれの場合患者に鍼による不快感、痛みそして良く「好ましい」とされる「鍼の響き」を与えない。
お灸の場合極小さい艾の塊を皮膚の上に載せて、燃やすが、火が完全に皮膚まで燃える前に指で囲む事によって火を消して患者に余り熱い思いをさせない。このようなお灸は新生児や乳幼児にでも施せるから、大人には全く問題が無いはず。

写真: 治療院の駐車場から見た前面。建物は大分老朽化しているが、それはこちらから何もできない。

治療手段

通常の置鍼(鍼を刺して暫くそのまま置いておく);
二本の鍼の間に電気を流す(短時間の微粒=パルス療法)(滅多に使わない);
鍼をやや深めに刺して、手で操作する=手技鍼;
小さな艾の塊を直接皮膚の上に燃やす;
敏感な人に艾の下に敷き紙を敷いたりし、間接的なお灸を行う;
温灸 - 艾と体の間に物(生姜の輪切り、や貝殻)を挟み、火傷しないお灸
指圧
マッサージなどの手技療法

写真: 待合室の風景;そこは時々変る

お灸はご褒美

お灸の事を言うと大半の人は何かの体罰や拷問を連想するようになった - 過去150年の間。それは私にお灸の評判を意図的に悪くするような陰謀に聞こえる。しかし、やり方は多数です。余り熱くない、全く熱くないやり方ある。

お灸の効果を一度体験出来たら、体罰ではなく、ご褒美になる。私は個人的何か問題があれば、お灸は常に第一選択だ。

写真: 次男が一歳半の頃「お灸しましょう」の掛け声に答えて、見せているポーズを取った。注目して貰いたい事:周りに大人3人が次男を押さえ込んでいる訳ではない。お灸をして貰うに志願している。あれほど小さい子供は熱い/痛いお灸に志願する筈はないでしょう。

因みに、うちの子供に生まれた日の内にお灸した。矢印で示した同じ場所に。

鍼は痛くない

鍼もまた類似の誤解されていると思う。それもまた何かの陰謀のでしょうか。通常の治療に使う所謂日本の「標準」の鍼は3-4cmほどの長さ、ポピュラーの太さは東洋人の髪の毛より2/100-4/100ほど「太い」。顕微鏡がないとその差が認識できない。そのような鍼は特に初対面の際2-3mmほどしか刺さないことが多い。通常には何一つ感じない。鍼刺されて気持ちよく寝てしまう患者が多い。

写真: 上記で説明した長さ39mm、直径0.018mm(髪の毛の2/100分「太い」)が2-3mmまで刺され、自分の重さで倒れている。鍼の先端が皮膚を少々持ち上げている事が見える。そのように刺された鍼が入ったまま散歩も出来る!

Timeless – priceless

最近目にした治療に関する広告は例外なく時間を細かく「分」単位で指定する。私は患者を分単位で診る能力がないので、治療が終わるまで掛かる時間を指定しない。悩みの多い患者の場合治療時間が長くなるが、「超過料金」などは取らない。そういう意味では私の治療は “timeless” (時間で計り知れない)であるからこそ “priceless” (お金で買えないほど非常に貴重)でもあるかもしれない。
現在実際の状況は異なっても、且つで日本の医療に強い影響を及ぼしたドイツで昔「外来診療」を “Sprechstunde” と言った。直訳では「話す時間」です。

写真: 治療院に使う鉄瓶。いつまでも変らぬ。冬も夏もぬくもりあり

お灸 - その技術と応用

私は「灸式」な人間
無論この表現は「旧式」と書くべきでしょうが、私はお灸が好きだから敢てそう表現する。
お灸と言う数千年間の実績を持つ民間療法のお蔭で大勢の人は救われた。既に出来ていた病気を治療したり、未だ病気になっていないもの予防(「未病治」と言う故事がある)や国民の健康維持に大いなる貢献をした。
私は大変旧式な職業を営んでいるものですので、体調が不良の状態に傾いてしまい、あるいは特に問題がなくても予防のため自分にお灸する。もしかしたらそ れは「健康増進法」に寄り添っているかもしれない。歯医者に行くと朝晩に10~15分を掛けて丁寧に歯磨きしないと歯が皆腐ってしまう事が常識とよく言わ れる。それに比べて健康維持と予防のため一日一回足の三里にお灸するのは5分で終わる。

写真: 専門学校に行った頃竹の節で作った灰皿。今まで約30年間愛用して来た。

治療例 → 

現時点ここに乗せるものがない。その内 →「鍼灸 – 治療の話」 (以前作ろうとした専用ブログに掲載する予定ですが、中々作業が進まない。)

写真: 専門学校に行った頃弓に使う壊れた矢(竹)で作った「鍼の筒」。その中に鍼管と鍼一本が入っている。どこでも鍼の片手操作できるように常にどこかのポケットに入っていた。

禅語=「歩歩道場」 - いつでも、どこでも修業

竹で作った「自分」の灰皿

日本の優れている職人技

鍼灸師として手の仕事=鍼灸=真求の仕事し始めてから35年ほど経っているが、後200年ほど修業すれば、何とか一人前の職人になる可能性は皆無ではないと幽かな希望を持っている。

鍼灸治療は大変長い伝統的職人技である。その良さと真価が忘れられないように鍼灸師は努力する。

写真: 真名瀬漁港。

外国人にも見せてください

私のサイトには 英語 やドイツ語のページもあるから時々外国の方から『既に中国の鍼を「知っている」か「勉強した」のですが、出来れば「日本の鍼」について 勉強 したいと問い合わせがある。
私自身は大変未熟ですので、あと200年間の修行をしないと一人前の鍼灸師にさえなれません。まして「日本の代表」として「日本の鍼」は語れません。
そこで、ご自分の誇り高き「職人気質」を海外(日本以外全世界です!)の方に披露して下さる先生方 - つまり外国の方を自分の治療院で見学させても良いと協力して下さる先生方をさがしている。
ご協力の程、宜しくお願いします。

写真: 二人のオーストラリア人を七沢病院ないの東洋医学科に連れた際私はモデルになって、一時的4人(写真に写っている見学者、東洋医学科の主任ともう一人の職員)が同時に複数の手技を施した・・・

鍼灸・東洋医学関連の用語集

過去長年の翻訳仕事中時々東洋医学関連文章も以来される。殆どの場合日英訳になる。作業中で調べたり、メモした言葉を適当な表を作ってきました。

その翻訳作業に複数の辞書を使っているが、私は知っている限り現在東洋医学関連の日英辞典は小さな一冊しかない。そこで前記の複数の辞書から引いた言葉を使ったりして、ネットで検索を書けたりして、あるいは満足すべき用語見つからなかったら、独自の解釈を加えて下記のサンプル(本来表は横向きになっているが、ここでは画面から食み出るので見せるため「縦書き」にした)の物を作っている。

出来れば多数の先生方に協力していただければその用語集の規模や内容大幅増えると期待している。結局中英辞典を参考しても、日本の状況や特徴が上手く現れてこない。

是非ご協力下さい。日本の伝統技術を世界に伝えるために大事な作業と私は考えている。

用語集に関して専用のページも造りました。→

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